ソフトボールの試合を見ていると、たまに左打者が走りながらバッティングしている姿を見ることがあります。
この走り打ちの技術をスラップと言います。
野球ではほとんど見られない技術で、ソフトボール独特のプレーと言えます。
この走り打ち、スラップについて詳しく説明するとともにどうして野球では使われないのか、そしてソフトボールで使われる理由をお話ししようと思います。
走りながら打つプレー、スラップとは
おもに左バッターがバッターボックス内をステップ(走りながら）ボールを打ちその勢いのまま走っていくバッティング方法です。
走りながら打つ、走り打ちなので当然動きながらのバッティングになります。
そして絶対にフライにしてはいけない、打球は出来るだけ高いバウンドで三遊間方面に打たなければならないので高い、バッティングコントロール能力も必要になります。
足の速い左バッターにとても有効で相手の意表もつくプレーです。
野球では使われない走り打ち、スラップ
このスラップ、野球ではほとんど見かけることがありません。
どうしてかというとボールがソフトボールより小さいので当てづらいこと、投手が基本的に上から投げる事、ソフトボールではあまりない横の変化球が多い事、以上の事を考えると上から叩くのはかなり難度が高いです。
そして最大の理由の一つが塁間の違い。
ソフトボールと違って野球の方が塁間が長いため、スラップ打法で塁間までのタイムを縮めてもアウトになってしまいます。
以上の理由で野球ではスラップをあまりしないのです。
ソフトボールで走り打ち、スラップが使われる理由
ソフトボールは塁間が短いので野手のほんの一瞬のミスでセーフになる確率が高くなります。
バントやスラップの処理で少しでも野手のスタートが遅かったり、お手玉したり持ち替えたり手間取ったりしたらほどんどセーフになります。
日本リーグ選手参考ですが、右打者が普通に打ってから走ると一塁まで3秒後半から4秒かかり、左打者だと3秒代半ばです。
一塁までの18m29cmの距離を、左打者がセーフティーやスラップをして走ると、2秒後半から3秒前半で一塁に到達します。
スタートが早くなるのでスラップはセーフになる確率は高くなり有効だと考えられます。
またスラップは、相手の守備を混乱させるプレーです。
サード、ショートは捕ってすぐに投げることを意識しますし、ピッチャーもそれは一緒です。
捕ることより投げることを意識がいってしまい、エラーをすることもあります。
また一度スラップを決めると、相手の頭にはスラップと普通のバッティングなどいろいろな攻撃を想定しなければいけなくなるのでとても判断がしづらくなります。
例えばスラップだと思ったらセーフティーバント、バントやスラップ警戒中に盗塁、もしくはヒットエンドランなど相手の守備を混乱させることができます。
ですので相手に選択肢を絞らせない攻め方で主導権を握るのに、スラップという攻め方はとても有効です。
またスラップはバッテリーにも意識させることにより、ピッチャーやキャッチャーにプレッシャーをかける心理作戦にもなります。
ですが、右もスラップは有効かというと左打者に比べ、右打者には有効ではありません。
それは単純に右より左のほうがファーストベースが近いこと、打って腰の回転を戻してから走る右打者より、打つときに腰が右に回転している左打者は打ってからの一歩、つまりスタートが早くなるので有利になります。
タイムにも出ていますが、どうしても右打者より左打者のほうが本塁から一塁までの到達タイムは早くなります。
以上の点でソフトボールで走り打ちが行われることが多いです。
まとめ
○走り打ちとはスラップと呼ばれているプレーの事で、バッターがバッターボックス内をステップ(走りながら）ボールを打ちその勢いのまま走っていくバッティング方法のこと
○野球は塁間が長い、ボールが小さい、横の変化が多い、ピッチャーが上から下に向けてボールを投げるのでミートしづらいなどの理由で走り打ちは不向き
○ソフトボールは塁間が短いので野球と比べると走り打ちが有効である
○攻撃の幅が広がり、相手を混乱させるため走り打ちは有効である
ソフトボールでの走り打ちは、相手を混乱させるなどとても有効的な攻撃の一つだと思います。
しかし、走りながらミートさせるという難しい技術がいるプレーですので練習もしっかりしなければなりません。
ですが左の俊足のバッターがスラップを決めるととてもかっこいいと思います(個人的な意見ではありますが…）。
左バッターの方は練習する価値はあると思います。